恩寵

恩寵は大陸の歴史を彩る中心的な存在として、畏き者たちから人々に与えられる特別な力を指す。紀元の初めに突如としてエヴァリナがこの世界に溢れ出し、同時に畏き者たちが出現し始める。これらの畏き者たちは、その驚異的な力と存在感を持つ一方、彼らと人々との間に特有の絆や契約を形成することで、特定の個人や集団に恩寵を授けることが可能となった。

恩寵の力は、その本質や作用において多岐にわたり、人々にとっての可能性を飛躍的に拡大させる。一部の人々には超常的な身体能力を高めるもの、あるいは特定の素材や物質を操る能力を与えるものが存在する。また、畏き者ごとに独特の恩寵が存在し、それにより彼らの個性や性質が反映されることが知られている。

影響力と可能性

恩寵の持つ影響力は計り知れず、その存在は、大陸の政治、文化、宗教、科学において絶大な影響を及ぼしてきた。一統期の317年、英雄ヴェランドが畏き者エストラヴィンを人類で初めて滅ぼすことができたのも、彼の持つ恩寵の力によるところが大きい。その後の歴史においても、恩寵を巡る争いや取引は激化し、多くの国や都市の興亡を左右する要因となってきた。

文化的な側面においても、恩寵の存在は大陸の多様な信仰や宗教、伝承、芸術に影響を及ぼしている。畏き者との関係や恩寵の利用が整理された時期に、エヴァリナ、畏き者、恩寵、そして王権を組み合わせた信仰体系「ヴァント」が成立したのも、恩寵の持つ影響力を如実に示す事例である。

このように恩寵は、大陸における多くの出来事や変遷、進化の源泉として、歴史の中心を飾る絶えざる煌めきである。

恩寵の具体例

時律

この恩寵は、時間の流れを一時的にゆがめる能力を持つ。使用者は一瞬の間、過去のある瞬間へと身を移すことができる。しかし、この移動は物理的なものではなく、過去の記憶や情景を鮮明に感じ取ることができる「体験」である。この恩寵は畏き者ティムラクスから授けられる。条件は、持ち主が生涯の中で最も後悔している瞬間をティムラクスに告白すること。その瞬間の情景や感情を再び体験することで、持ち主は過去の過ちを受け入れ、前に進む力を得ると言われている。

火の花

使用者の周囲の空気中の酸素を瞬時に燃焼させ、美しい火花の舞を生み出す恩寵。この火花は単なる光景ではなく、熱やエネルギーも持つため、敵を退ける防御手段としても利用できる。畏き者フレイラから授けられるこの恩寵の条件は、毎日夜明けと夕暮れの時に、純粋な心で天を仰ぎ、自然の美しさを称賛すること。

夢織り糸

眠っている間、持ち主の夢を現実の物として織り出す恩寵。夢の中で得たものは、時には生き物まで、目を覚ますと現実に存在する。しかし、これらは日の出とともに消失する。畏き者ルミエスから授けられるこの恩寵の条件は、毎晩夢を紙に書き記し、814日ルミエスの祭壇に捧げること。

心の湖

持ち主の心の中を表現する小さな湖を生成する能力。この湖の水面や色、そして中に住む生き物たちは、持ち主の心情や思考を表す。例えば、心が穏やかであれば水面は静かでクリアになり、逆に乱れていれば荒波が立ち、湖の色も変わる。畏き者セレナリアから授けられるこの恩寵の条件は、セレナリアの湖で溺れ死に、セレナリアによって蘇生されること。