ヴァルタの幽霊船

ミアルヴァン海を彷徨う伝説の船

群王期の終わり頃から、ミアルヴァン海の船乗りたちの間で「ヴァルタの幽霊船」の噂が広まった。それは、霧の中から突如として現れては消える、黒い帆の大型船だった。

目撃証言によれば、この船には乗組員の姿はなく、甲板には無数の松明が燃えているという。船に近づこうとすると、急激に霧が濃くなり、船は姿を消すとされる。興味深いことに、この船を目撃した者の多くが、その後、思いがけない幸運に恵まれたと報告している。

学者たちは、この現象を畏き者の仕業か、あるいは海上に発生する特殊な蜃気楼ではないかと推測している。一方で、古い呪いを帯びた実在の船だとする説も根強く、真相は今も明らかになっていない。