サルヴァリュ・ゼクトラル

嘘を暴く古代の書物

ベロヴの古い図書館に保管されている、嘘を暴く力を持つとされる神秘的な書物。

サルヴァリュ・ゼクトラルは、ベロヴの首都エルヴァントにある古代図書館の最も奥まった書架に保管されている、一冊の古ぼけた書物である。その表紙は年季の入った革で覆われ、金色の文字で判読不能な古代文字が刻まれている。

伝説によれば、この書物は畏き者セルティオによって人類に授けられたものだという。サルヴァリュ・ゼクトラルには、嘘を暴く不思議な力があるとされており、その前で虚言を吐くと、書物のページが自動的にめくれ、真実が浮かび上がるという。

ベロヴの統治者たちは、重要な裁判や外交交渉の際にこの書物を用いることがある。しかし、その使用には厳格な規則が設けられており、むやみに開くことは禁じられている。なぜなら、書物の力は使用者の意図に関わらず働くため、時として望まない真実まで暴いてしまうからだ。

興味深いことに、サルヴァリュ・ゼクトラルは物理的な嘘だけでなく、自己欺瞞や無意識の嘘までも見抜くという。そのため、この書物の前に立つことを恐れる者も多い。真実を知ることの恐ろしさを、身をもって体験することになるからだ。