グリトリュ・サキ

危険な鉱石入りの酒

グリトリュ・サキは、アヴィスティアの鉱山労働者たちの間で密かに製造・消費されている、鉱石の粉末を混ぜた危険な酒である。その強烈な効果と中毒性から社会問題となっているが、労働者たちの間では根強い人気を誇っている。

アヴィスティアの鉱山の奥深く、労働者たちの間で密やかに造られ、飲まれるグリトリュ・サキ。その濁った液体の中には、微細な鉱石の粉末が漂っており、飲む者に強烈な酩酊感と、時に奇妙な幻覚をもたらす。

グリトリュ・サキの製法は、通常の蒸留酒に特定の鉱石を粉砕して混ぜるというシンプルなものだ。しかし、使用される鉱石の種類や配合率は製造者によって異なり、その効果にも大きな差がある。中には畏き者の力が宿った鉱石を使用していると主張する者もいるが、真偽のほどは定かではない。

この酒を飲んだ者の多くが、強烈な幸福感と高揚感を報告している。中には、鉱脈の位置を直感的に感じ取れるようになったり、岩石と対話ができるようになったと主張する者もいる。しかし、その効果の裏には重大な危険が潜んでいる。

過度の摂取は重篤な中毒症状を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもある。また、常習者の中には、幻覚や妄想に苛まれ、正常な生活が送れなくなる者も少なくない。

アヴィスティア政府は、グリトリュ・サキの製造と流通を厳しく取り締まっている。しかし、その効果を求める労働者たちの需要は後を絶たず、闇市場での取引は続いている。

一方で、グリトリュ・サキの薬理作用に着目した研究者たちもいる。彼らは、その効果を分析し、新たな鎮痛剤や精神安定剤の開発に活用しようとしている。