エルナ・ミア山脈の石窟寺院群
古代の畏き者信仰の聖地
エルナ・ミア山脈の石窟寺院群は、大陸北部の険しい山岳地帯に点在する古代の寺院遺跡群である。岩壁を刳り貫いて造られたこれらの寺院には、畏き者との遭遇を描いた壮麗な壁画が残されており、古代の信仰と芸術の貴重な証左となっている。
エルナ・ミア山脈の石窟寺院群は、崇願期初期から中期にかけて造営されたと考えられている。最古の寺院は、畏き者エルナリオスの出現直後に建立されたとされる「エルナの聖窟」である。
石窟寺院の内部は、複雑な迷宮のような構造を持ち、その壁面には鮮やかな色彩の壁画が描かれている。これらの壁画は、畏き者との遭遇や、彼らから授かった恩寵の効果、そして人間社会への影響を生々しく描写している。特に有名なのは、「七大畏き者の間」と呼ばれる巨大な円形の洞窟で、その天井には七体の強大な畏き者の姿が描かれている。
石窟寺院群の中で最も神秘的とされるのが「ヴェリャの迷宮」である。この寺院は、畏き者の力が凝縮されているとされ、内部に入った者の多くが幻覚や啓示を体験するという。そのため、古来より多くの求道者や冒険者たちが訪れている。
現在、これらの石窟寺院群は、アヴィスティアとカレニアの国境地帯に位置しており、両国の共同管理下にある。しかし、その厳密な所有権を巡っては、今なお外交的な駆け引きが続いている。
エヴァリナ学者たちは、これらの石窟寺院が単なる信仰の場ではなく、畏き者の力を制御・利用するための古代の装置ではないかと推測している。特に、一部の洞窟で観測される特異なエヴァリナの流れは、この仮説を裏付けるものとして注目されている。