ヴェリャ・ノルヴァの詩篇

シャロヴィア時代の叙事詩集

『ヴェリャ・ノルヴァの詩篇』は、シャロヴィア王国の全盛期に編纂された壮大な叙事詩集であり、畏き者との戦いや英雄たちの冒険を韻文で綴った文学作品である。

この詩篇は、シャロヴィア王国の宮廷詩人ルミオス・サルヴァリュによって、一統期の400年から420年にかけて編纂されたとされる。全12巻から成り、各巻は100の詩節で構成されている。

詩篇の中核を成すのは、英雄ヴェランド・ミアルヴァンの壮絶な物語である。第一巻から第三巻までは、ヴェランドの幼少期から畏き者ベセーとの契約に至るまでの経緯が描かれる。特に、故郷テーマダの崩壊を歌った「灰燼の子守唄」は、その悲哀に満ちた韻律で広く知られている。

第四巻から第九巻では、ヴェランドとエストラヴィンとの71日に及ぶ死闘が詳細に綴られる。詩人は畏き者の圧倒的な力と、それに立ち向かう人間の不屈の精神を鮮やかに対比させ、読む者の心を揺さぶる。

第十巻から第十二巻は、シャロヴィア王国の建国と繁栄を歌い上げている。ここでは、人間と畏き者の新たな関係性が模索され、両者の共存の可能性が示唆されている。

『ヴェリャ・ノルヴァの詩篇』の特筆すべき点は、その韻律法にある。「エヴァリナ韻」と呼ばれるこの手法は、畏き者の力の流れを模したとされ、読み上げると神秘的な共鳴を生み出すという。

現在でも、この詩篇は七国の宮廷や学問所で広く読まれており、英雄時代を懐古する際の重要な文献となっている。また、詩篇の一節を唱えることで小さな奇跡が起こるという俗信も存在し、民間でも親しまれている。